正社員の定年後は嘱託社員などで再雇用されるケースが多いが、その際の給与等をどうするかは難しい問題だ。これまでは定年時の基本給の60%が限度とする裁判例が一つの目安になっていた。
先日、自動車学校における定年後の再雇用についての基本給や賞与等の待遇差について争われていた事件で、最高裁判所は高裁への審理差戻し判決を下した。この事件では、一、二審ともに基本給が定年前の60%を下回っていたことを問題視していた。
今回の判決では正社員と嘱託職員とで基本給の性質・目的が異なっているが、高裁ではその点の審理が十分ではなく、検討が不十分であるためとしている。判決では基本給の性質や目的について審議を尽くす必要があること、定年後の基本給が60%を下回ることをもって違法とするのではないとしている。定年後の待遇については、業務内容はもとより、定年前と定年後の基本給や賞与等について、それぞれその性質等を考慮して決める必要がある。
合理的な判断基準がないまま、なんとなく定年前の◯%で設定すると、裁判になった場合、合理性にかけるとされてしまうリスクがあることが明らかとなった。定年後の待遇の設定に十分な配慮が求められる。
■参考:最高裁判所(東京新聞)|定年後再雇用で基本給60%は不当? 「違法」とした高裁判決を最高裁が破棄、審理差し戻し 名古屋自動車学校訴訟|
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